fc2ブログ

クイント・ナカジマの日記―――抜粋―――

ぐふっ。

インフルエンザに倒れ付した空腹です。

感染源は恐らく東京。皆さん、東京に注意です。

熱に浮かされたまま、何故か小ネタ追記。

やり過ぎた感があるので、完治後に直すかも知れません。

高熱状態だとコレでも良いんじゃないかと思うんだが………。でわわ



 

           ロストロギアメモリー小ネタ





クイント・ナカジマの日記―――抜粋―――




 ○月○日

 今日もまた任務だった。最近のミッドの犯罪量は正直洒落になっていないと思う。
 
 でもだからって無能な管理局に鉄槌をと言うのは間違っている気がする。ちくそう……(くしゃくしゃと出鱈目に文字が消されている)

 御蔭で今日はスバルにおはようもお休みも言えなかった。ちくそう、あの……(くしゃくしゃと乱暴に文字が消されている)

 だからと言って頑張って起きて、さらには帰ってくるのを待っているギンガには申し訳ない気持ちで一杯だ。

 正直色々満たされるが、コレでは駄目な●●●みたい。ちくそう、こんの……(くしゃくしゃと力強く文字が消されている)

 そういえば、一人面白い子供を見つけた。病院服のような物を着てふんふんふんふーんと何処か異国の風情を感じさせる鼻歌を中央ロビーで歌っていた。

 何が楽しんだこの野郎、と思わないでもない。
 


 ○月×日

 今日の任務は悲惨だった。とあるデパートで自爆テロがあったのだ。

 此方が到着した時には既にBOMっており辺りは悲壮感一杯に怨嗟と悲しみの声が溢れていた。

 現場は正直しばらくスパゲッティが食べられなくなるような有様だ。

 そして、何とか帰宅するとあの人が珍しく食事を作ったと言う。この時点で激しく嫌な予感がした。

 しかし妻根性を発揮して、ニコリと微笑み何を作ったのと聞いた。

 答えはミートスパゲッティだった。カルボナーラとかペペロンチーノだったら我慢できたかもしれないが、ミートスパだけは我慢できない。

 クリティカルな右の一撃でご就寝頂いた。リボルバーを外したのはせめてもの感謝の印である。



 ○月△日

 今日は珍しく任務が無かった。正直素直に嬉しい。定時で帰れるのは何時以来だろう。

 休憩時間には久しぶりにメガーヌとお茶も飲めた。子育て談義に沸く。

 最近子供を産んだばかりのメガーヌは稀に顔を出す程度に止めている状態だが、この調子では一年もすれば現場に復帰しそうだ。

 しかし赤ちゃんって可愛いなぁ。スバルとギンガも生まれたばかりの頃はあんなんだったのかなぁ。

 ちくそう、可愛いぜルーちゃん。

 そうそう、帰りに『……すばる~、……ぎんが~』と言う声がしたので振り向いてみるとこの間の子供が又しても歌っていた。

 しかし今日は気分が良いので、近づいて聴いて見る事にした。
 
 矢鱈と拳の聞いた演歌だ。乗っているのか鼻歌ではなくガチで歌っていた。

 キャラキャラと天使の様にルーちゃんが笑ったので、声を掛けてみるとビグゥッとして頬を赤くして『失礼しましたーー』と言って去っていった。

 悪い事をしてしまった。

 それは兎も角久々に家族で食事だ。だが、あの人は今日は残業で帰ってこられないと連絡が来た。

 絶対にボコルと心に決めて三人で楽しく食事をした。この子達に平日に夕飯を作ったのは何時以来だろうと日記をめくると一ヶ月たってもそれらしい記述が無いので断念する。

 しかし『風の中の~~~♪ 砂の中の~~~♪』とは随分な歌詞だ。何故か耳に残る。

 明日もう一度聴こう。



 ○月□日

 奇跡だ。二日連続で事件が起こらなかった。

 と言うより、ミッドの事件が起こるたびに駆り出されるのがうちの部署だけではなくなって来たと言う事だろう。

 自慢ではないが我等が隊長は言語道断、文句無しのオーバーSランクの騎士だ。

 次元世界を見守る本局でさえAAAランク以上は5%未満。オーバーSに至っては1%にも満たないのではないだろうか。

 地上本部と言う大層な名前が付いてはいれど、ミッド地上本部に常時駐留している首都防衛隊の人数は本局に所属する人員に比べ余りに少ない。

 そこにオーバーSなんて人は一人居ればそれだけでめっけもんである。なので少しでも事件の規模が大きければ呼び出されるのが常なのだが、最近の武力強化による犯罪率の減少と言う事実上の地上本部総司令様のご意向はかなり成功しているように思える。

 しかも、あの人は隊長のご親友らしい。武力強化すれば犯罪が減ると言うのもかなり暴力的な論理だが、成功を収めている以上文句の仕様もない。

 だが、私的な意見ではあの人は余り好きにはなれない。黒い噂が絶えないし、それ以前に地上の正義論理を振りかざす前に自分の腹をどうにかしろ、腹を。

 自己管理も出来ないような人が組織の管理が出来るはず無いと思う。

 とまあ、勝手にテンションを上げたり下げたりしつつ帰宅の徒につこうとしたら何時もの中央ロビーにあの子の姿は無い。

 なんだ今日は居ないのかと思っていると、ストレッチャーであの子が運ばれていった。

 目と鼻と口から血が流れ出ていた。

 そこに居た人に色々と問い詰めてみると、家の子供達のメンテを行っている所と同系統の施設で事故があったらしい。

 更に聞くと彼は戦闘機人と似たような存在であるらしかった。しかし、好奇心に駆られた馬鹿が無茶をしたらしい。

 訳も無く気分が悪くなった。何故か管理局にも戦闘機人のデータが有った為検査などは多いが自分の子供達は『実験』に付き合わされる事はないが、一歩間違えばそうなっていてもおかしくない。

 思案しているといい加減に放してくれと言われたので放す。そこで気が付いたのだが思いっきり提督用の黒い制服だった。

 青ざめたが、特に気にする事も無くその人は去って行った。

 (追記)後から知ったのだがその人は最年少で提督資格を取った人物らしい。

 マジパねー。



 
 ○月▽日

 今日は午前中に首都爆破を未然に防ぐと言う大活躍を決めて帰路にたった。

 今回の活躍で一日お休み貰えないかなぁ。貰えないだろうなぁ。しかし、午後は子供達のために使わせてもらう。

 家は共働きなので、普段家に居る事が少ないのに家族の触れあいを管理局は一体どう考えているのだろうか?

 休みが週一というのも何とかして欲しい。その休みさえも事件が起これば潰れるのだから。

 こういう仕事を選んだのだから誰にも言わないが、子供との触れ合いはさせて欲しい。

 報告書をマッハで仕上げて早上がりを獲得したは良いがお腹が減っていた。

 その時は二時は過ぎていたのでスバル達もご飯は済ませちゃっただろうなぁと思っていると良い香りが漂ってきた。

 本能に負け地上本部のやたらデカイ偉容の隅っこの方に行くと石で作られた粗末な釜戸があり、其処にあの子供が居た。

 凄まじく驚いた。だってアレから数日だ。死んだ様にぐったりしていたのに元気そうだった。そこでぐきゅりゅ~っと可愛らしく(そう思いたい)お腹が鳴った。

 ビックリして少年が振り向いた。最悪だと感じた。なんと言うか色々と最悪だった。

 少年は『食べる?』と警戒心を滲ませながら聞いてきたのでご相伴に預ることに。

 それはカレーだった。なんでもキャンプにはつき物らしい。所でキャンプって何?

 美味しさと空腹も手伝って二人で二杯ほど御代わりをした。食べ終わると早々に少年は後片付けをして去ろうとしのでもっと多くを語りたかったが、名前だけ聞いた。

 テンドウ・テツヤと言うらしい。

 ちなみに家に帰ってスバルとギンガにカレーを作ったが、お昼に食べた方が美味しかった。

 ちょっと凹む。



 ○月☆日

 またテツヤ君に会った。どうも地上本部に住んでいるらしい。相変わらず何処と無く警戒心を滲ませる野生動物のような少年だった。

 だが偶発的にとは言え一緒にご飯を食べた仲だからか、二人きりならば多少は話してくれる。

 何でも訓練校に通う様になったそうだ。しかし生活や移動には監視がつき、地上本部から出る事も許されないと言う。(先日の行動もかなりギリギリだったらしい)

 不満だった。

 凄まじく不満だった。

 こんな小さな(十歳位か?)子供にそんな不自由を強いる事も不満なら、その子供が普通ではない事がその理由だったことも不満だった。

 一日考えに耽っていると隊長が思わぬ命令書を持ってきた。

 内容は簡単

 あの子の監視役になる人間を募集していると言うのだ。

 まあ、やる人間は居ないだろう。

 なにせ監視以外に通常業務もこなさなくてはいけ無いと言う条件だ。

 誰もやる人間は居ないだろう。

 そう私以外には。しかし、そうなれば地上本部に住ませると言うのは何かが違う。自分が何がしたいのかは良く分からないが、行ってしまえ。

 あの人の説得は面倒かもしれないが、スバル、ギンガという前例も在る。何とかなるだろう。



 ○月◎日

 甘かった。人気商品のスペシャルストロベリーサンデー【極】よりも甘かった。

 色々面倒な問題は例の最年少提督の御蔭(保護責任者だったらしい)であっさりとクリヤー出来たのだが。

 あの人の説得は拳を握り締める事で(そんなに怖いのかしら)あっさりクリヤー出来たのだが。

 まさかな問題が発生した。

 そう、テツヤ君を我が家に住まわせると言う計画は顔面に汗をびっしりと浮かべる彼と、怯えたような眼差しと敵意を含んだ冷たい眼差しを向ける我が子らとの対面により、その前途は悪雲の兆しがアリアリと窺い知れた。

 まさか家の子に限って人見知りをするなんて!!
 
 そう言えばデパートに行くと服の裾を放さなかったり、まだ私に慣れる前は姉妹二人で抱き合って、警戒して近づいてこなかったりしたからって!

 まさか家の子に限って!!

 とりあえず、今日はテツヤ君の拉致成功に祝杯を挙げよう。

 あと今日からここに住むのよと彼に言った時の顔は凄かった。

 問題アリアリなスタートだが、まあ如何にか成るだろう。


 
 ○月@日

 失敗かもしれない。

 いきなり挫折しかけた。

 先ず第一に会話が無い。

 次にスバルとギンガはテツヤ君から五メートル以上離れている。

 同じテーブルに付こうとしない。

 常に嫌だ追い出してと隠す事無く言ってくる。

 テツヤ君の眉間に刻まれた皺が解けない。

 困った。非常に困った。

 ノリと勢いに任せた行動は後に響いてくるようだ。

 したり顔の旦那を殴ってストレスを発散する。



 ○月●日

 今日も今日とて仲の悪い我が子とテツヤ君。

 テツヤ君が少しでも仲良くしようと話しかけるのだが露骨に無視するか、嫌そうな顔をして離れていくスバルとギンガ。

 どうしよう

 テツヤ君が不憫でならない。

 私から注意すると―――泣く。

 泣きたいのはこっちだった。

 あと分かった風な顔で頷く親父は殴っておく。


 
 ○月◇日

 大変だ。テツヤ君が車に轢かれた。と言うかトラックに轢かれた。

 原因は―――言いたくないがギンガだ。

 何故かシューティングアーツの練習に付き合わされたテツヤ君がギンガの鉄拳を受けてポーンと吹っ飛んで言った事が原因だった。

 ポーンと吹き飛んで、ゴロゴロっと転がってキキーっとなってグチャであった。

 正直諦めた。

 アレは無理だと思った。

 だが普通に歩いてきて『続きする?』とか言ってきた。スバルとギンガがごめんなさいと泣いてしまう。やっぱりワザとだった。

 スバルとギンガが泣き疲れて眠った後に『病院に行くか』と聞くと『先生が…救命です』と言って気を失った。訳が分からない。

 訳は分からないが、この子の心意気を無駄にしない為にコッソリと病院で診てもらう。見事に肋骨が折れていた。

 今日は始末書を書いて寝る。ところで………テツヤ君は予想よりも良い子だった。

 あと『それが漢ってもんよ』とか言ったおっさんはリボルバで殴っておいた。 



 ○月▲日

 ドグチャ事件から数日

 てっきり少しは仲が良くなるかと思ったテツヤ君と我が子らは、特に変る事無く冷戦状態が続いている。

 正直疲れる。本当に疲れる。とか思っていたらテツヤ君から話があると呼び出された。

 多分もう嫌だと言われると思った。自分でさえも結構疲れているのだから、この子も相当な物だろう。

 しかし、話の内容は私に無理をして欲しく無いと言うことだった。

 はじめは自分を預かってくれてとても感謝しているという話。

 でもそれで私に無理を強いている事がとても心苦しいと言う話。

 その話が終わった後は肩を揉んでくれた。非常に繊細な指使いで、酷く上手かった。

 明日はスバルとギンガに話をしよう。

 あと『そろそろ年か?』とほざいたアホにダブルリボルバーの恐ろしさをもう一度刻む。



 ○月■日

 失敗した。スバルとギンガと話してそう思った。

 何故スバルとギンガがテツヤ君を嫌っていたかと言うと、自分達が捨てられると思ったからだそうだ。

 『私達はもういらないの?』と言われて涙が出るくらいに自分の馬鹿さ加減に頭にくる。

 けどそんな事を思ったこの子達にも頭にくる。自分がそんな風に思われていたなんてもう何がどうして良いのかも分からなくなる位にグワングワンしてしまった。

 まあ、こっちも良い大人なので落ち着いて冷静にそんな事は絶対にしないと涙ながらに語った。

 あと、そんな親子の触れあいをニヤニヤしながら見ていたムサイ人にコンボを叩き込む。HPがなくなった後にもエアリアルだ。



 ○月▼日

 今日テツヤ君が自分の境遇を子供達に語っていた。

 私とあの人も居るので、それほどまでに心を許してくれたのかと思うとジンと来る。

 特に昨日の事があったからか、自分が少しの間だけお世話になると言うこと徹底して言っていた。

 スバルとギンガも申し訳無さそうな顔をしていたが、自分達と似たような境遇の彼に少しだけ気を許す事ができたように思える。

 此処まで長かった。

 スバルとギンガが家に馴染むまでの苦労を思い出して眠る。

 明日からは少しだけ気が休まるだろう。



 ×月○日

 家に帰るとご馳走が用意されていた。何事!?っと驚いていると仕掛け人の子供三人が登場。

 仲直りの印に三人で作ったらしい。

 と言うかこんなに食材ってあったかしらと思ったらテツヤ君が用意したようだ。

 四人で仲良く頂く。しかし、生のお魚とライスがこんなに美味しいとは、第97管理外世界の料理らしいが舐めていた。

 あれ、そう言えば今日は誰か一人足りなかったような。

 数えてみたが四人ちゃんと居る。問題なし問題なし。



 ×月♪日

 最近気が付いたのだがテツヤ君は良く左のおでこに瘤を作る。家でも良くぶつける事があるなと感じた。

 聞いてみると左眼が殆ど見えないらしい。何てことだ。今までそんなことにも気付かなかったなんて?!

 ガビーンッとショックを受けていると手をギューッと握って、何も気にする事は無いと微笑まれた。

 ちくそう。子供の癖に腹立たしいので其の日はテツヤ君を我らが親子の布団に放り込む。

 キャーッと喜ぶスバルに少し恥ずかしそうなギンガ。そして額に汗を垂らすテツヤ君。

 脱出しようとするので足を絡めて首を抱えた。何やら怪しい独り言が鳴り響きながら停止。サービスしすぎただろうか?

 でも可愛いので許す。

 そして家族と言うなら俺もと言って来る親父には『加齢臭!!』との言葉と共に心身に浸透系の打撃を噛ました。

 もしかしたら泣いてたかも知れない。しかし後悔は無い。


 ×月×日

 スバルがテツヤ君のことをお兄ちゃんと呼んだ。

 『ぐはああああ!!』と何故かテツヤ君は慄いたが、本当に何故だろうか。

 日に日に仲が良くなっていく三人に頬が緩む。

 そして食卓に彩りが増えていくのは徐々に台所に浸透してくるテツヤ君の所為だろう。

 料理が好きらしく、私に『教えてください』と言ってきてミッド料理を教えるのも少し楽しい。

 最近は仕事も落ち着いてきたし、日記に家の事を書く頻度が増えてきている。非常によい事だ。



 ×月△日

 遂にギンガがテツヤ君をお兄ちゃんと呼んだ。

 『ぐはああああ!!』と久々にテツヤ君の叫びが家に木霊したが、最早慣れたもので誰も驚かない。

 そして今日は三人で始めてお風呂に入ったらしい。

 普段風呂に入れている旦那は『貴様に娘はやらん』とトチ狂った事を言っていたので幕之内スペシャルでテン・カウント

 むぅ、強力だったみたい。

 

 ×月□日

 首都防衛隊の皆にテツヤ君を紹介してみた。

 『へぇこの子が例の』と言った顔をした連中はロッカーに放り込んだが、メガーヌと隊長にはテツヤ君は少し懐いた。

 うん。人を見る目があるなこの子は。

 メガーヌは兎も角あの厳つい顔をした隊長の本質を見抜くことは中々に難しい。

 頭をなでてやったら少し驚いた顔をした後、照れた様に微笑んだ。

 ヤバイ、可愛い。


 
 ×月▽日

 テツヤ君のカバンにナイフで斬ったかのような傷があった。

 問い詰めてみると、随分前からこんな事があったらしい。

 ブツンと頭の奥のほうで何かが切れる音がした。

 ニコヤカニ微笑んで誰にやられたのと聞いても青褪めて答えない。

 家の子に手を出すとはふてぇ奴が居たものだ。

 取り合えずジャプニカ暗殺日記に今日の事を詳細に記録する。


 ×月$日

 テツヤ君の拳が血に染まった。

 なんでも父親を馬鹿にされたらしい。

 完全にブチギレタらしく静止しようとした講師(Aランク)さえも鉄拳のみで撲殺(誇張)したようだ。

 やった事に後悔はない。しかし、私達に迷惑を掛ける気は無いですと言って荷物を纏めたので、初めてリボルバーを味あわせる。

 口元からダラダラと血を流すテツヤ君にグッジョブと親指を立て、其の脚で訓練校へ。

 文句を言って来た講師(Aランク)を眼力で平伏させ、全てを穏便に片付けさせる。少なくともいきなり辞めさせられることは無い。良かった。

 そして、其の日から何やらテツヤ君の私を見る目が微妙に違う(何処がとは言えないが)。

 むぅ、やはり怖がらせたか。しかし、ボディタッチは増える。何故だろう。

 テツヤ君を威嚇する夫は久々にキャリバーショットで粉砕する。やはり、慣れはいけないわよね?


 ×月☆日

 鉄矢君が訓練校に行く頻度を減らした。

 全寮制が基本の訓練校で本局のトランスポートを使って通う彼は相当の異端児だが、彼が真面目で努力家なのは誰よりも私が知っている。

 スバルとギンガは喜んだが、一週間前の事も有る保護観察員としては口を出さねばなるまい。

 だが、話を聞いて驚いた。

 この子、どうもかなりの天才児だ。

 努力家なのは知っていたが、それを受け入れる頭脳が彼には備わっている。

 実践は兎も角、理論では既に訓練校のレベルを超えているようだった。

 なるほど、型に嵌った訓練ではこの子には合わない。

 そして、そのままで居るような大人しい性格でもない。

 良く分かった。



 ×月◎日

 鉄矢君に魔法戦闘を教え始めて数日。

 隊長やルーちゃんを連れて来たメガーヌも含めて三人で其々の特技を叩き込んでいく。

 まるで砂漠の砂が水を吸うように様々な事を急速に学んでいく鉄矢君。

 コレはシューティングアーツをギンガに教えている時と同じ様な、だが何処か違う興奮を覚える。

 才能だけならばギンガの方が圧倒的に上だ。でも何か、何か輝くものが鉄矢君にはある。

 少ない魔力で精一杯に手を伸ばす彼は正直見ていて心地良い。

 隊長やメガーヌも何か感じる物があったのか、極力彼の面倒を見るようになってきた。

 でもこの子が一番懐いているのは私だ。身動き一つ取れないほどに疲弊したテツヤ君を背に背負い、其の寝息を感じながら心の底からそう思う。


 
 ×月▼日

 スバルにギンガに鉄矢。三人が猫のように重なり合って眠っていた。

 最初長袖ばかり着ていた彼も、家の中では薄着になる。

 左腕から肩にかけて酷い傷跡があるせいだった。

 この傷が大本となって目が見えなくなったとも聞く。(もう聞けば彼はどんな事でも話してくれる)

 私はこの傷をつけた人を決して許さない。



 △月○日

 今日例の最年少提督が家に来た。

 訓練校で測られた能力を見るに実戦に出す日も近いという説明を受けた。

 私は無理だと言った。教える事も学ばなくてはいけない事もまだまだ沢山あるといった。

 でも彼は貴方の御蔭でそれも一ヶ月以内には終わるでしょうと言った。

 愕然とした。

 全ての能力を訓練校卒業レベルにするにはそれぐらいで事足りると自分で理解したからだ。

 彼は様々な事について謝辞を告げて帰っていった。

 この日のことは、それ以外に良く覚えていない。



 △月×日

 子供三人を連れて海に出かける。久々に重なった休みを利用したのだった。

 鉄矢は少しだけ左腕を隠そうとしたが、許さなかった。

 子供はそんな事を気にしてはいけないのだ。

 結果は日暮れまでフルパワーで遊べる子供達に完敗。

 鉄矢が居なければスバルとギンガに若干の不満が残ったかもしれない。

 だが興奮した面持ちでハッキリと水着を褒める鉄矢の姿に女誑しの才能を垣間見る。

 ギンガとスバルは嬉しそうだったし、私も…少し嬉しかった。

 ちなみに『ういっく』と早々にビールを飲んだボケは海中に沈めた。

 水着新調したのに。


 
 △月♪日

 な、なな、な奈々何という日なのか!!

 正直何があったのか自分でも覚えていない。いや、嘘だ。ハッキリと覚えている。

 自分が動揺していると分かるので事実だけを書こう。

 今日我等が親子四人はTVドラマを楽しんでいた。其処まではよかった。其処までは日常だった。

 だが其のドラマにキスシーンが有ったのが拙かった。いや、特に拙くは無い。
 
 ドラマの内容は人気番組だけあって素晴らしく、其のキスシーンもとてもロマンチックで良いものだった。

 そうこの時、この時思わずこんなキスがしてみたい等とさえ言わなければ! だって、あの人はそう言うところ少し考え無しだし、でもそういう少し無骨なところも良かったり悪かったり。

 ああでも問題はそうじゃない。あの時じゃあ俺とします?と小首を傾げたテツヤ君に思わず笑ってお願いするわとさえ言わなければ!

 だがその『お願いするわ』の後には『大人になったらね?』が来る筈だったのに、其の前にく、唇が塞がれた(とんでもなく柔らかい唇だった!)。それだけならまだ良い。其の程度ならばまだ何とか………色々駄目な気はしても………大丈夫だった。

 思わず思考が停止した数瞬後には舌が入ってきた!(そう、ドラマのキスシーンはディープな方だった)

 侵入した舌先は、あっという間に舌先を絡めとり、ぬるりとした感触を与え、同時にまるで小鹿が跳ねるかのように口内を蹂躙す(以後十数行グチャグチャに文字が消されている)

 十分ほどして唇が離れた。んで如何でしたと首を傾げる鉄矢にリボルビングアッパー。天井に激突し床で跳ね更に天井に激突してから墜落した鉄矢は不思議そうな顔で『な、何故に?!』と顎を擦る。(スバルとギンガは運良く其の前に眠っていたが衝撃で起きた)

 私はどのような理由があれ女の子(どうせ私は『子』じゃないけど、けど!!)に軽々しくキスはいけないと説教。

 そう言うのは本当に好きな人にしなさいという。しかし鉄矢は私の事が大好きらしい。正直物凄く嬉しいがソレは意味が違うと教え込む。

 『じゃあ、愛してます』と語る鉄矢。じゃあって何だじゃあって………。

 兎に角、相思相愛の人にしなさいと教え込む。

 『クイントさんは俺嫌いですか?』と聞かれる。いや、大好き何だけど。

 『じゃあ良いんじゃないんですか?』ん、ん~~? 良いのだろうか? いや、良くは無い。こう見えても旦那持ちである。

 『んー、つまり俺のキスが下手糞だから駄目だと?』 いや、上手でびっくりしたんだけど。

 『やっぱり、見よう見まねは駄目だな。うん。まあ、初めてだからしょうがないけど』 ………初めて? アレで!?

 この日、鉄矢の真の恐ろしさを知った気がする。

 兎も角、簡単にキスはいけないと封じた。まあ、この子は九歳。九歳とキスしたとしても何も問題はない。

 でも、確かに素敵な口付けだった。この子の未来の奥さんはある意味で幸せ者だろう。

 ………何となく、今日はあの人は殴らない。

 寧ろ殴られない事に不満そうな顔をした。

 子供を寝かしつけた後に何度か唇をなぞる。そう言えばスバルとギンガが来てからは初めてではないだろうか………。



 △月△日

 今日ギンガがポソリと鉄矢が本当のお兄ちゃんだったら良いのにと言った。

 どうもこの間の話を聞いていたらしい。

 後一月もしない内にあのお兄ちゃんはこの家から居なくなってしまう。

 その事を知っていたらしい。

 そして、私に魔法を教えないでと言う。

 どうしよう。自分でも如何すれば良いのか分からない。



 △月□日

 最近は鉄矢がご飯を作ることが多い。

 料理の腕は既に…(滅茶苦茶に消されている)

 美味しいし。忙しいときは楽が出来て良いのだが母親として色々駄目なような気がする。



 △月▽日

 鉄矢は最近伸びが良い。目標でも出来たのか、私達のデバイスを借りて色々と練習している。

 そうなって始めて気が付いたのだが、デバイスを、しかも複数扱う事にこの子はかなり良いセンスをしている。

 卒業も…そう遠い事ではないだろう。



 △月☆日

 ギンガが鉄矢にベッタリになってきた。

 それをまねてかスバルもベッタリ。

 鉄矢はそれを受け入れているが、自分でもこの家を離れるのが近いと分かっているような雰囲気を発する。

 旦那は『娘はやらんぞー』と吼えたが無視した。

 そしたら泣いた。ウザかったので殴ったら嬉しそうな顔をした。

 駄目だこのオヤジは。


 
 △月◎日

 今日隊長が基本的なことは全部教えたと言った。

 自分としては二日前に既に基本は教え終わっていたので何も言う事はなかった。

 コレ以上は本当にこの子を教育する者の仕事だ。
 
 魔法の基礎理論と構築技術は訓練生レベルを超えた。

 古代ベルカでは十歳になると一人前と呼ばれた時代もあったそうだが、ふざけろと言いたい。

 少し、いや、余りにも早過ぎだ。
 


 △月●日

 今日は始めて鉄矢君と一緒にお風呂に入った。勿論娘達とも一緒に。

 何時もの如く『ぐはああああ!?』と慄いていたが真意は不明。キスは平気なのに、裸は駄目らしい。

 ずっと赤くなって俯いていたが、中々にしっかりとした体つきだ。

 問題はこの年で此処まで鍛えてしまって後年身長が伸びなくなってしまうのではないかという不安だが。
 


 △月◇日

 鉄矢から直接来週には此処を離れる事を告げられた。

 その時は冷静に『そう、頑張るのよ』と言えたとは思うが、頭がくらくらした。

 でもコレは初めから分かっていた事だった。

 この家族ごっこにも終わりが来る事は初めから分かっていた事だった。

 でも久しぶりにあの人の胸に泣きついた。



 △月▲日

 ギンガとスバルが泣いた。

 それはもう泣いた。

 一日中続くぐらいに泣いた。

 鉄矢はずっと困ったような顔をしていた。



 △月■日

 スバルとギンガは鉄矢から離れない。

 離れたらもう二度と会えないとでも思っているかのように。

 鉄矢は相変わらず困ったような顔をしていた。

 困ったような顔をして、家を離れる準備を黙々としていた。

 

 △月▼日

 今日鉄矢に家の子供にならないかと話した。

 あの人は反対しなかった。

 それ程にこの子はもう私達の子供になっていたのだ。

 その日、私は始めて鉄矢の泣きそうな顔を見た。

 この家に着てから、彼は努めて負の感情を露にしないようにしていた。

 骨が折れても、苛められても、どんなに苦しい訓練でも泣き言一つ言わなかった鉄矢が酷く、今にも泣きそうな顔で、苦しそうに。

 『なりたい、でも………出来ない』

 そう、ありがとうとごめんなさいを繰り返す鉄矢に自分は酷い事を言ったのだと知った。

 暫くして落ち着いた鉄矢から、両親はもう自分の中にしか居ない。だからソレを失わせたくない。

 だから鉄矢は私の事もあの人のことも『母さん』とも『父さん』とも呼べない。

 そんな自分が『親子』に成る訳にはいけない。

 そういった事を聞かされた。

 ソレを聞いて、まだ早すぎたと感じ入った。

 この子の心の傷はまるで癒えていない。この子の傷は両親が死んだまま、まるで閉じていない。

 だから、酷い。自分は酷い事をしてしまった。

 鉄矢を抱きしめた。力一杯。精一杯の愛情を込めて。

 涙を流せない(その理由も知っている)彼の代わりに涙を流して。

 

 △月★日

 今日鉄矢が去って行った。

 沢山涙を流すスバルとギンガを一杯抱きしめて、彼は頬にキスをした。

 私とゲンヤさんの頬にもキスをして痛いくらいに強く一度だけ抱きついた。

 それが鉄矢が私達に甘えた最初で最後の瞬間だった。

 その小さな甘えが心地良く私の胸に残った。

 私は愛情を込めて鉄矢の額に口付けを送った。

 子供たちも頬へキスを返した。

 旦那がむちゅうとやろうとしたのでシューティングアーツの奥義サイクロングレネイドを叩き込んだ。

 そうして彼は去った。

 最後に『大好き』と大声で叫んで。

 鮮やかな去り際

 鮮やかな少年だった。

 この少年を私は生涯忘れない。

 私の三人目の子供の事を……。

 だから、焦らなくて良い。 

 心の傷も何時かは癒える。

 いや、癒してみせる。

 だから、その時にもう一度言えば良い。

 『私達の子供に成らない?』って

 ああ、そう言えば『身体に気をつけて』そう言ってあげられなかった事が一つ心残りだ。

 だが、それも何時だって言える。

 あの子は私が大好きで、私もあの子が大好きなのだから。






スポンサーサイト



コメントの投稿

非公開コメント

No title

更新お疲れ様です、いや割と真面目に(汗
というかインフルエンザって・・・とりあえずお体をお大事に

やっとリュウを購読出来て
「ゼオライマあああああっ!!」
って気分でサイト覗いたんで驚きました(汗

No title

いつも見ていますが、始めて感想を出しました。
堕ちた天使の世界が復活しましたね!
あなたの作品はそのころから見ています。
ロストロギアメモリーも大好きですが風の聖痕も大好きでした。
できるならそれもこのサイトで続きを書いてほしいです。
これからもがんばってください!楽しみにしています!!

返信遅れて大変申し訳ありません!

蝦蟇口咬平様へ


>更新お疲れ様です、いや割と真面目に(汗
というかインフルエンザって・・・とりあえずお体をお大事に


お久しぶりです。返信が限りなく遅くなって申し訳ありませんでした。原因は次回策と同時に書こうとか思ってしまった自分のミスです。
そして現在風邪を引いて会社を休んで書いています。ごほごほっ。


>やっとリュウを購読出来て
「ゼオライマあああああっ!!」
って気分でサイト覗いたんで驚きました(汗


まあ全てはタイミングしだいと言う事で。
更新が遅れていて大変申し訳ありません。



MOTO様へ


>いつも見ていますが、始めて感想を出しました。
堕ちた天使の世界が復活しましたね!
あなたの作品はそのころから見ています。


始めまして、感想感謝です!
変身、いや更新が遅くなった理由は上記のとおりですが、実は前回更新時に次話が半分以上書き上がっていた事が原因です。


>ロストロギアメモリーも大好きですが風の聖痕も大好きでした。
できるならそれもこのサイトで続きを書いてほしいです。
これからもがんばってください!楽しみにしています!!


風の聖痕は作者が死亡して絶版と化してしまったので、正直続きを書くのは難しいです。
具体的に言うと、偽神器使い達の黒幕とかラピスとか

でも実は二話では聖痕主人公その二深夜の相方出現とか
三話では煉君大活躍+その他色々とか
四話五話では極限対決和麻VS深夜とか
六話では本物と偽者の違いを見せつつ七話に引き継ぐ感じで構想も出来ていたのに残念すぎます。
やば、ちょっと書きたい。
でわw

No title

前話じゃねーな。前々話の冒頭のちょっと下? だった。
プロフィール

kiniba

Author:kiniba
FC2ブログへようこそ!

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
ブロとも一覧
FC2カウンター
FC2カウンター
現在の閲覧者数:
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QRコード